あなたの側で眠りたいから

「ねぇ、レン…?」

二人で眠る夜。
隣に感じる温もりに擦り寄ったトキヤが瞳を隠す前髪を持ち上げて覗く。

「…ん、どうしたんだい?眠れない?」
「いいえ…もうすぐ眠ります…ただ…」
「…ただ?」

横を向き直り、改めてトキヤと向かい合ったレンが優しく微笑みかける。
ぎゅっと抱き寄せる事も忘れない。

「…ください…レンを…一言で良いんです…」

レンの腕の中、心細そうに眉を下げたトキヤがちらりと見遣る。

「今日もトキヤが大好きだったよ。明日はもっと愛してる…」

ちゅ、とリップ音が闇夜に響く。
細々と差し込む月明りがその口吻を照らし、二人の視線がここに来て漸く絡み合った。
それはトキヤが求めた安堵の訪れ。

「…私も…、大好き……おやすみなさい、レン…」

仕事での嫌な事も体に蓄積されている疲れも、あっさりと吹き飛ばすレンの言葉。温もり。笑顔。
魔法の言葉を聞いた途端、優しさと安心に包まれたトキヤは、レンに抱きついたまま眠りの淵へと落ちていく。


2012.2.9
言葉がなくたって想いは伝わってる。だけど、めためたな時くらい、言葉が欲しい。
だって、折角一緒に眠れるのに、嫌な気持ちのまま眠りたくないから。
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