whistle lip
「もうレン…、それ以上は…っ」
ぎゅっと衣服にしがみつき、トキヤは耐えていた。甘美な刺激に。大好きなレンの甘い声に、トキヤは堪えていた。
二人は共にシーツの海に溺れ、一つになりながら高みを目指している。どちらからともなく与え、そして受ける甘い毒牙に酔い痴れながら、赤々と頬を染めて高揚していた。
覆い被さるのはいつもレンのほうで、トキヤは彼の手が織り成す魔法に浮かされ、快楽の波に乗せられている。
満更でもない様子でトキヤも頬を紅らめ、目の前のレンに追い縋る。そうやってしがみついていないと、この海原に一人溺れてしまいそうで怖かった。
「もう限界?久しぶりだからかな?」
悪戯っぽくレンが笑う。互いの手は繋いだまま、もう片方の手でつーっとトキヤの頬を擽る。
それにすら敏感に反応を示すトキヤは、甘い声を漏らしながらレンの指に踊らされていく。
頬の指は顎へと滑り落ち、首、鎖骨、胸まで下る。鳩尾から臍までは一直線に下降し、その下に待ち受ける茂みの手前で指は止まった。そして、探るような眼差しがトキヤにねっとりと貼り付く。
「我慢、していたのは私だけじゃないでしょう…?」
不安の残る表情でレンを見やる。
「はは、安心して。オレだって同じさ」
「…だったら、その……」
「ん?なんだい?」
「だから、その……っ」
「はっきり言ってくれなきゃわかんないよ」
「…っ、意地悪…しないでください…っ」
懇願するようにしがみつくトキヤの限界だと訴える顔はひどくいやらしく、また可憐で愛おしい。
(狼にはなりたくなかったんだけどな…)
心の中でひとりごちるレンの瞳がトキヤを捕らえて離さない。しかし、それはトキヤも同じだった。
レンの背に腕を回し、きつく彼を抱擁してねだるその様は、テレビの中で見せる凛々しさはまるでなく、一人の男として。人間として。裸のまま全てを持って最愛を受け入れる。そう物語っていた。
「ごめんごめん、トキヤが可愛いからつい、ね…」
「ん…レン……」
お詫びのキスをし、トキヤの髪をくしゃくしゃに撫でる。
待ち焦がれた続きを始めてもらえるのだと、トキヤの身体が無意識に震えた。愉悦に濡れ始めた瞳が『限界』だと無言でアプローチしてくる。
「それじゃ、たくさん可愛い姿を見せてね、トキヤ」
ちゅ、と鳴くリップ音は始まりの汽笛。そうして二人は静かに甘い海へと旅立っていく。